仏仏辞典・リンク
仏仏辞典
インターネットで閲覧可能な仏仏辞典(一部、仏英辞典等を含む)を時代順に並べました。
- Robert Estienne, Dictionarium Latinogallicum (1538-1570)
16 世紀の人文学者・出版業者ロベール・エチエンヌ(1503-1559)が編纂した『羅仏辞典』(ラテン語→フランス語辞典)。初版(1538)、第 2 版(1546)、第 3 版(1552)、第 4 版(1570)が存在します。第 3 版がシカゴ大学 ARTFL で検索可能なほか、初版(1538)と第 3 版(1552)が Google books で閲覧可能。 R. エチエンヌは羅羅(ラテン語→ラテン語)辞典 Thesaurus (『宝典』)の編者でもあり、また聖書を初めて節に区切って出版したことでも知られています。
- Jean Nicot, Thresor de la langue française (1606)
ジャン・ニコ(1530-1600)の『フランス語宝典』。一見すると仏羅(フランス語→ラテン語)辞典ですが、重要な単語についてはフランス語で語源、意味、用法などが説明されており、例文も(仏→羅形式ですが)記載されているため、初めての近代的なフランス語辞典として評価されています。シカゴ大学 ARTFL で検索可能なほか、Gallica や Google books でも初版全文を閲覧可能。巻末の付録(Gallica 版 Screen 715/930 以降)には、Jean Gilles de Noyers の諺集と、ニコ本人の手になるとされる解説つきの諺集が収録されていて貴重。
余談ですが、ジャン・ニコは駐ポルトガル フランス大使となったときに手に入れたタバコの粉を、1560 年に国王フランソワ 2 世の頭痛を治すために母后カトリーヌ・ド・メディシスに送ったことから、最初にフランスに煙草を持ち込んだ人物とされ、「ニコチン」の名の由来となりました(ただし煙草では病気を治すことはできず、フランソワ 2 世は同じ年に 16 才の若さで死んでしまいます)。
- Dictionnaire français-anglais de Cotgrave (1611)
シェイクスピアとほぼ同時代のイギリス人ランドル・コットグレーヴ(Randle Cotgrave, 生年 ? -1634)による仏英辞典。正式な書名は A Dictionarie of the French and English Tongues 。項目はフランス語、説明は英語です。歴史上ほとんど最初の仏英辞典で、この時代のものとしては驚くほど正確。
原文は、1611 年版 (a) が Greg Lindahl さんのサイトで閲覧可能(および見出しの単語検索も可能)なほか、1611 年版 (b) 、1673 年版などが Google books で閲覧可能。
- Le grand dictionaire François-Flamen (1618)
オランダのロッテルダムで出版されたフランス語→フラマン語辞典(1 巻本)。見出しはフランス語で説明はフラマン語。1640 年版 が Google books で閲覧可能。編者 Elcie Eduard Leon Mellema (1544-1622)は、これに先立って 1587 年にフラマン語→フランス語辞典も出しています(1591 年版 が Google books で閲覧可能)。
- Dictionnaire français de Richelet (1680)
『リシュレの辞典』と呼ばれる、ピエール・リシュレ(Pierre Richelet, 1626-1698)による初めての本格的なフランス語の辞典。パスカルやラシーヌなど 17 世紀の作家の文章が用例として取り上げられています。
1680年版(全1巻): Gallica ; Google Books ; Internet Archive
1694年版(全2巻):上巻、下巻 (Google Books)
1759年版(全3巻):第1巻(A-D)、第2巻(E-O)、第3巻(P-Z) (Internet Archive)
1780年版(全2巻):上巻、下巻 (Google Books)
1793年版(全2巻):上巻、下巻 (Google Books)
- Dictionnaire de Furetière (1690)
アントワーヌ・フュルチエール(1619-1688)が『アカデミーフランセーズ辞典』に飽き足らずに、1650 年代始め頃に独自に執筆を開始し、死後に刊行された仏仏辞典で、百科辞典としての性格も持っています。正式な題名は長いので「フュルチエールの辞典」と呼ばれます。
1690 年版(全 3 巻)は第 1 巻(A - E)a、第 1 巻(A - E)b、第 2 巻(F - O)、第 3 巻(P - Z)が Google books で閲覧可能。
1708 年版(全 3 巻)は第 1 巻(A - D)、第 2 巻(E - N)、第 3 巻(O - Z)が Google books で閲覧可能。
- Dictionnaire de L'Académie française (1694-1992)
『アカデミーフランセーズ辞典』。17 世紀終わりに第 1 版が出て以来、現在まで 9 つの版が出ています。各版を比較することで、300 年間の言葉の変遷(ある言葉や意味がいつ頃から使われ始め、いつ頃使われなくなったか)を簡便に知ることができます(ただし、第 1 版あたりを引く場合は、下記 TLFi などで古い綴りを調べてから引く必要があります)。- 第 1 版(1694)
シカゴ大学 ARTFL
第 1 巻(A-L) (Internet Archive)
第 1 巻(A-L) (Gallica)
第 2 巻(M-Z) (Gallica)
第 1 巻(A-L) (Google)
第 2 巻(M-Z) (Google) - 第 2 版(1718)
第 1 巻・第 2 巻 (Internet Archive)
第 2 巻(M-Z) (Gallica)
第 2 巻(M-Z) (Google) - 第 3 版(1740)
第 1 巻(A-K)、第 2 巻(L-Z) (Gallica)
第 1 巻・第 2 巻 (Internet Archive) - 第 4 版(1762)
CNRTL (CNRTL)
シカゴ大学 ARTFL - 第 5 版(1798)
シカゴ大学 ARTFL
第 1 巻、第 2 巻 (Google) - 第 6 版(1835)
シカゴ大学 ARTFL
第 1 巻、第 2 巻 (Google)
補遺(1842) (Google) - 第 7 版(1878)
第 1 巻(A-H)、第 2 巻(I-Z) (Gallica)
第 1 巻(A-H)、第 2 巻(I-Z) (Internet Archive) - 第 8 版(1932-1935)
CNRTL (CNRTL)
シカゴ大学 ARTFL - 第 9 版(1992-)
CNRTL (CNRTL)
- 第 1 版(1694)
- Abel Boyer, Dictionnaire royal françois-anglois, et anglois-françois (1702)
ユグノー(プロテスタントのフランス人)で1689年にイギリスに移住したアベル・ボワイエ(-1729)が編纂した仏英辞典。初版は Google books などで閲覧可能。死後も19世紀に至るまで、多くの版が出ています。
- Dictionnaire de Trévoux (1704-1771)
18 世紀を代表するフランス語辞典『トレヴー辞典』。もともと、オランダで印刷されプロテスタント的色彩が濃かったフュルチェールの辞書を、スイスに近いアン(Ain)県の町トレヴーに拠点を置くカトリックのイエズス会修道士たちが換骨奪胎して(つまり表紙を付け替え、若干の手直しをして)出来上がった辞典。版を重ねるごとに増補されていき、1704 年版では 3 巻だったのが 1771 年版では 8 巻になっています。
インターネットでは現時点では全巻は閲覧できないようです。- 第 1 版(1704)
第 3 巻 S – Z (Google) - 第 2 版(1721)
第 1 巻 A - Col (Gallica)、(Google)
第 2 巻 Com - F (Gallica)、(Google)
第 3 巻 G - M (Gallica)、(Google)
第 4 巻 N - S (Google)
第 5 巻 T - Z (Gallica)、(Google) - 第 3 版(1732)
第 1 巻 A - Col (Gallica)
第 2 巻 Com - F (Gallica)
第 3 巻 G - M (Gallica)
第 4 巻 N - S (Gallica)
第 5 巻 T - Z (Gallica)、第 5 巻 T - Z (Google) - 第 4 版(1743)
第 1 巻 A - Cha (Google)
第 6 巻 T - Z (Google) - 第 5 版(1752)
第 1 巻 A - Byz (Gallica)
第 3 巻 Det - F (Gallica)
第 4 巻 G - Lyc (Gallica)
第 6 巻 Pis - Tez (Gallica)
第 7 巻 Tha - Z (Gallica)
補遺第 2 巻 H - Z (Google) - 第 6 版(1771)
第 1 巻 A - Bou (Gallica)
第 2 巻 Bou - Cra (Gallica)
第 3 巻 Cre - E (Gallica)、第 3 巻 Cre - E (Google)
第 4 巻 F - Jam (Gallica)
第 6 巻 Mit - Pro (Gallica)
第 7 巻 Pro - Tez (Gallica)
第 8 巻 Tha - Z (Gallica)
- 第 1 版(1704)
- Encyclopédie (1751-1772)
『百科全書』。ディドロとダランベールが中心となって編纂された、18 世紀フランスを代表する著作。 全 28 巻(本文 17 巻 + 図版 11 巻)+ 補遺・索引。
ARTFL Encyclopédie Project などで閲覧可能。
- Littré (リトレ)
エミール・リトレ(1801 - 1881)による辞書。初版 1863-1872、第 2 版 1873-1877。古典的な文学作品からの引用例が豊富で、今なお高い評価を得ています。
XM Littré (休止中?), Reverso (簡略版?)などで検索可能。
初版(Google):
第 1 巻第 1 部 A - C (1863)
第 1 巻第 2 部 D - H (1863)
第 2 巻第 1 部 I - P (1869)
第 2 巻第 2 部 Q - Z (1869)
- Grand dictionnaire universel du XIXe siècle (Grand Larousse du XIXe siècle)
『十九世紀ラルース』。ラルース社の創業者ピエール・ラルース(1817-1875)が編集した百科事典。1866-1876 年に 15 巻本で刊行後、1877 年と 1878 年に補遺が出版され、最終的には全 17 巻 22,700 ページとなっています。ピエール・ラルース自身の主観も色濃く反映されています。 Internet Archive のリンクを貼っておきます。
第 1 巻 A - Azzubeydi
第 2 巻 B - Bzovius
第 3 巻 C - Chemins de fer
第 4 巻 Chemin - Contrayerva
第 5 巻 Contre - Czyzowski
第 6 巻 D - Dzoungarie
第 7 巻 E - Ezzelin 1er
第 8 巻 F - Gyzéh
第 9 巻 H - Ky-yn
第 10 巻 L - Memnonium
第 11 巻 Mémoire - Ozza
第 12 巻 P - Pourpointier
第 13 巻 Pourpre - Rzyszczewski
第 14 巻 S - Testadon
第 15 巻 Testament - ZZ
第 16 巻 Supplément 1
第 17 巻 Supplément 2
- Trésor de la Langue Française informatisé (TLFi) (CNRTL)
1 冊平均千ページ以上の本 16 冊(合計約 2 万ページ)からなる、文字通り「フランス語の宝庫」と呼ぶにふさわしい例文豊富な大辞典(1971 - 1994 年刊)を電子化したもの。一冊一冊がどっしりと重たい緑の辞典を、大変な思いをして手に取らないで済むというのは、インターネットの恩恵を感じる瞬間の一つ。
- Larousse (仏仏・仏英辞典など)
特に仏英辞典では、スピーカーのマークをクリックすると、朗読のプロが吹き込んだと思われるメリハリの効いた美しい発音を聞くことができます。
その他のリンク
- ギリシア語・ラテン語
- Perseus (古代ギリシア語→英語辞典)
権威ある Liddell/Scott/Jones, A Greek-English Lexicon (LSJ)が閲覧可能。
検索時の少し変わった入力規則を守る必要があります。
- Perseus (ラテン語→英語辞典)
権威ある Lewis & Short ラテン語辞典が閲覧可能。
活用・格変化した形を入れてもヒットします。
- CLASSICSINDEX
オンラインで読めるギリシア・ラテンの古典的著作のリンク集。
ミーニュ版『ラテン教父全集』全 221 巻のデータなども便利。
- 古フランス語・中世フランス語
- Le Dictionnaire du Moyen Français (1330-1500) (DMF)
ATILF による『中世フランス語辞典』。現代最大級の古フランス語辞典。2012 年現在、約 18,400 ページ相当の膨大なデータがインターネットで閲覧可能。
そのうち、諺だけを抽出したものが Tous les proverbes で閲覧可能。
- Godefroy, Dictionnaire de l'ancienne langue française (dicfro)
定評ある用例豊富な 10 巻本の古フランス語辞典。補遺と簡略版も閲覧可能。
- Hilaire Van Daele, Petit dictionnaire de l'ancien français (dicfro)
学習者向きの古フランス語辞典ですが、Godefroy に載っていないものも含まれています。
- TCAF(Tableaux de conjugaison de l'ancien français) (dicfro)
中世フランス文学がご専門の岡田真知夫・小栗栖等の両先生が作られた「古フランス語活用表」。古フランス語の動詞の活用は、時代や方言によって形が異なりますが、これは活用している形を入力すると一発で不定詞がわかる仕組みになっていて、非常に重宝します。
その他、dicfro で閲覧可能な古フランス語の辞典・語彙集の一覧はこちら。
- ARLIMA
Archives de littérature du Moyen Âge(中世文学アーカイブ)。フランス中世の個別の文学作品について、成立年代、写本の所在、現代語への翻訳状況、研究書誌などが記載されています。こまめにアップデートされているので、最新情報が手軽に得られます。
- Webster 英英辞典 (ARTFL)
ウェブスターの英英辞典(1828年版と1913年版)が検索可能。同じ画面で「ロジェ・シソーラス類語辞典」も検索可能。
- シェイクスピア語彙辞典 (Perseus)
複数のシェイクスピア語彙辞典・用語集(Alexander Schmidt, Shakespeare Lexicon, 1902 ; Alexander Dyce, A General Glossary to Shakespeare's Works, 1904 ; C. T. Onions, A Shakespeare Glossary, 1911)の検索結果が得られます(リンク先は a の検索結果)。
- Open Source Shakespeare
シェイクスピアのコンコーダンス(ジョージ・メイソン大学)。ある単語がシェイクスピアの作品の中で全部で何回、どこに出てくるのかが一発でわかります。
- その他
- Gallica
フランス国立図書館の蔵書を電子化した「ガリカ」。
- Internet Archive
アメリカの電子図書館「インターネットアーカイブ」。フランス語の本も収録されています。特に、19世紀末~20世紀初頭に出た本で、Googleでは閲覧制限がかかって読めないものが、ここでは読める場合が多いようです。
- Persée
学術論文の検索・閲覧が可能な「ペルセ」(ペルセウス)。
- étymologie-occitane.fr
オック語のオンライン辞書。
- Paremia
スペインのコンプルテンセ大学のJulia Sevilla Muñoz(フリア・セビージャ・ムニョス)が1993年に創刊した諺研究雑誌Paremia に収められた論文(ほとんどがスペイン語、一部フランス語や英語)などが閲覧可能。
- Refranero multilingüe
スペインのCentro Virtual Cervantes(セルバンテス・バーチャル・センター、CVC)による「多言語の諺」。スペイン語の諺がアルファベット順に並べられ、意味、用例、対応するヨーロッパ各国語の諺、その出典などを知ることができます。検索画面:Buscador
- Proverbium
アメリカの諺研究の権威 W. ミーダー編集のことわざ研究雑誌。
HathiTrust で多くの号が閲覧可能。
- Les proverbes de Bruno (Port Saint Nicolas)
カトリック系のサイトに載っていることわざコーナー。ことわざの数は(まだ)少数ながら、神学校で倫理神学を教える現役の聖職者が現代的な「説教」のネタとしてことわざを取り上げ、教訓・道徳という観点からことわざを解説しています。
- Proverbes japonais
Valérie Nonjarret さんのサイト Guide du Japonais の中のページ。日本のことわざが正確なフランス語で解説されています。
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